【 出産後に大きく変わる心と体 ーホルモンの影響とはー 】

出産するといきなり周りの無理解に直面することに気がついたりします。
帝王切開、無痛分娩、母乳が出るのかどうか。
お母さんである自分自身の判断よりも周囲の声が大きくてそれがプレッシャーになることがあります。

いよいよ出産すると、いきなり赤ちゃんが主役で自分は引き立て役のように感じることもあります。
「ワンオペ育児」という言葉に代表されるように、一人で子育てに向き合うお母さんも多いのではないでしょうか。

赤ちゃんの大体幸せなイメージから、出産後は様々な問題に直面します。
ホルモンバランスの変化によるメンタルの不調。
出産に影響する筋肉、特に骨盤底筋群が傷ついたことによる影響
睡眠不足、
そして、そんな中で、全て一人で子育てをしなければならないスーパーウーマンを求められる、と感じたりします。

産後のホルモンバランスの影響は大きいです。
出産後の女性は、産後いきなり数時間で、閉経後のおばあさんになるような状態になります。
性欲がなくなったり、膣の潤いがなくなったり、そういう影響から夫婦生活をしたくない、と考えることもあります。
産後数時間でマタニティブルーズが起こる場合もあります。これはしばらくすると自然に治るが、時には産後3ヶ月くらいで「産後うつ」の状況になることもある。

おっぱい(乳房)はたくさんのブドウの房が詰まったような形をしています。よく食べ物の種類によっておっぱいが詰まる、と言われたりしますが、食べ物の成分がそのままの形で血管を通っているわけではないので、食べ物によっておっぱいが詰まりやすくなるということはないのです。
母乳育児については、母乳育児が一番良いと思っている人(宋先生は「おっぱい右翼」と名付けている。)ミルクがあるんだからおっぱいをわざわざあげなくてもいいと考えている人(「おっぱい左翼」と呼んでいる。)という人達もいると思っている。何れにしてもバランスが大事です。

【 怪しい育児サイトに注意 】
以前は、ネットで検索できる医療情報の9割くらいが嘘だと思っていたけれど、今は99%嘘だと思っても良いくらい。これは育児情報でも同様のことが言えます。
育児情報を調べるときにはスマホを使っていると思いますが、正しい情報、信頼できる情報が発信されているサイトを「お気に入り」に入れてそこから情報を得ることが大切です。
消費者庁 子どもを事故から守る プロジェクト!
内閣府 子ども子育て支援新制度
国立感染症疫学センター
国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
・ 様々な学会
小児科学会「子どもの救急」
日本皮膚科学会「一般市民の皆様」
日本小児歯科学会
Know VPD! 「ワクチンで防げる病気(VPD)」

【 自分のインナーユニットをいたわろう】
出産後には実に4割の人が尿失禁を経験すると言われています。骨盤底筋群が傷つくことで起こります。お産の最中に息みを繰り返していた人に起こりやすいです。尿失禁は結構辛いものです。また、治るかどうか保証がない、というのが辛かったりします。
産後に赤ちゃんを抱っこしていることも負担になりやすいです。
動物は本来4足歩行。人間は二足歩行になったことで、骨盤底筋に重力の影響を受けやすくなっています。
だから、重力の影響を受けないように3週間は寝ていることがすすめられています。3週間以降も腹圧をかけない用意することは有効です。産後、起き上がるとき、体を起こすときも腹圧をかけないように一度横向きになってから起きると良い。
腹筋運動も良くない、腹圧をかけることになる。腹圧をかけるということは、排泄機能に圧をかけることになる。
インナーユニットを鍛えることが大切。インナーユニットとは、骨盤底筋、横隔膜、腹横筋、体幹を支えるためにはこれらが連動している。これらの筋肉を鍛えることが大切。腹筋を鍛えるのではなく、横隔膜を持ち上げるようにすると良いです。

実は、普段から骨盤底筋を守るのにいい方法は排便時のコツ。
排便時にも腹圧をかけないように排便することが大事。本来4足歩行の動物であれば、腹圧をかけなくても便が出やすい仕組みになっています。人間は、二足歩行になったことでまっすぐのホースがねじ曲がったようになっているのです。でも、腹圧をかけない排便の仕方も工夫できます。子ども用の足台を準備してください。洋式便器に座った時に両足を子供用の足台にのせます。すると、膝の位置が高くなる。両手を前の壁に立て掛ける用意お尻を突き出すと良い。こうすると、腸の位置がまっすぐになり排便しやすくなります。

【産後うつ】
マタニティブルーズはほっておいても勝手に治るのだけれども、産後3ヶ月ごろまでに「産後うつ」という症状が出る人もいます。
だいたい日本で1割くらいです。日本では実は「産後うつ」は少ないと言われています。里帰り出産という習慣から、一人きりになる生活をする人が少ないことが影響しているのではと言われています。
この症状には、なんとなくやる気が出ない、というものから「死にたい」という気持ちまで幅が広いのですが、「子どもが可愛いと思えない」という気持ちと相関関係があるという研究が結構あります。
出産後はハッピーなイメージがありますが、実は産後のお母さんは体も傷ついた上にメンタルも非常に無理がかかる。
妊娠前からメンタルにもともとなんらかの問題を指摘されていたお母さんの方が起こりやすいと言われています。
「お母さんだから気合いで乗り切れ」と言わずに、周りの人も、ぜひお母さんをケアしてほしいです。
授乳や、子育て、お産、お母さんでなければできないこともありますが、お母さんを孤立させずに、周りとの関わりを持つということが大切です。周りの人が理解してあげてほしいですね。
「産後うつ」を防ぐには、頑張らなければいけない、こうじゃなきゃいけないんだよ、ということは子育てにはなくてですね。
子どもが二人いますが、上の子どもと下の子どもでこうも違うか、ということがありますし、「親の育て方でこうなる」と呪いをかけられることもありますが、子どもは子どもで一人づつ勝手に違うってこともあります。
産後特に、寝れる時は寝る、授乳間隔の間に「今のうちにご飯作らないと」「洗濯もしないと」と思わずに、なるべくお母さんでなくてもいいことは変わってあげるのがいいと思います。江東区にも制度があると思うのでぜひそういうものも活用してほしいと思います。
冷静に考えれば、赤ちゃんは小さくて一番可愛い時期なので、お母さんが余裕を持って体も休めてようにしてほしい。
今や女性は90歳まで生きないといけませんから、30歳で骨盤底筋もボロボロになってそのあとずっと合併症も抱えて過ごすというのは女性の人生にとってけして良いことではないですから、体も心も休めて過ごしていただければいいなと思っています。

以上(文責:落合香代子)